地上生活者〈第1部〉北方からきた愚者著者 : 李恢成(이회성/イホェソン)
出版社 : 講談社(2005/06)
『群像』2000年1月号から2001年12月号までに連載された作品を一部改稿したもの。
主人公である趙愚哲(通名:高松愚哲)は64歳になる売れない小説家である。 久しぶりに小説を書くことになり、小学校から高校までを過ごしたという北海道へ友人たちに会いにゆくところから始まる。 ストーリーは趙愚哲が生まれたサハリン(旧樺太)の幼い思い出の回想から始まる。
日本の敗戦後、サハリンにいた日本人のための引揚船が運航され始めるが、在日朝鮮人はその引揚船に乗ることができなかった。 そんな中、趙愚哲の父親と長兄がいろいろと手をうち、何とかその引揚船に乗り込み、北海道へと帰ってこれる。 この辺りの話しは、著者の小説『百年の旅人たち』(1994)や著者が34年ぶりにサハリンを訪れた際のことを綴った『サハリンへの旅』(1983)に詳しい。
『百年の旅人たち』に登場する家族がサハリン→北海道→長崎の大村収容所→北海道の札幌と移動するストーリーと本書のストーリーには、小説なのでもちろん登場人物の名前などは異なるが、同じような背景、同じような家族構成、といった具合に、類似点が多々ある。 そのため、本書を読み始めたときは、なぜ同じような内容の作品を再度書くのかと思った。 ただ、本書のほうは、主人公である趙愚哲が少年から青年へと成長する中で、身近に起こった様々な出来事が趙愚哲少年の目を通して、趙愚哲によって語られており、それなりにおもしろい。
「〈第1部〉北方からきた愚者」は趙愚哲が中学校を卒業する頃までである。 そして、〈第2部〉はまだ読み始めたばかりだが、趙愚哲が高校に進学するところから始まる。
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