わら屋根のある村原書名 : 《초가집이 있던 마을》(芬道出版社、1985)
著者名 : 권정생 (クォンジョンセン/權正生)
翻訳者 : 仲村 修
出版社 : てらいんく(1998/12/01)
慶尚道の山里にある村で暮らす子供達のお話しです。
ある日の朝、学校で突然知らされた朝鮮戦争勃発の話し。はじめはピンとこなかった子供達も避難命令が出され、南へ南へと徒歩で避難する生活が始まる。
避難命令がなくなり、約3ヶ月に及ぶ避難生活から村に帰った子供達は、それぞれの運命に驚き、悲しみながらも、成長しそれぞれの道を歩み始める。
小説の前半は、わりとさらっと書かれており、それほど強い感動はないが、後半はそれまで幼かった子供達が、自分の将来を考え始め、世の中のことがだんだんと分かっていく様子が描かれており、著者の伝えたい事もたくさん含まれているように感じられる。
避難命令が出された時、南に非難していった人達と避難したくてもタイミングが悪く、そのまま村に残らざるをえなかった人達。村に残った人達は、やって来た人民軍のもとで、言われるままに彼らを手伝い、子供達は人民軍が臨時で開校した学校に通う。その間、アメリカ軍の飛行機による空襲があったり、理由もよく分からず人民軍に捕まった村人が集団銃殺されたり、人民軍が北へ後退する際に一緒に北へ行ってしまった人達。
爆撃で親兄弟を失った子、地雷を誤って踏み無くなった子、父親が人民軍と一緒に北へ行ってしまった子。いつ何が起こるか分からないような世の中で、子供とはこんなに逞しく育つものなのかと思う。
著者はこの子達の置かれた境遇や成長を通して、なぜ北の人間は悪いと言うのか、同族同士なぜ殺し合わなければならないのかという疑問を抱かせ、そして、ある子は人を殺してまで自分だけ生き残るのなら殺されたほうがいいと思い、ある子はイデオロギーで相対的に人を分類するのがおかしいという思いに到らせる。
大人が読んでもいいが、小学生高学年から中学生ぐらい向けかなと思える小説。こういう小説がもっとたくさん翻訳されればいいのにと思う。
著者のプロフィール(『わら屋根のある村』から) :
권정생 (クォンジョンセン/權正生 : 1937−2007)
1937年9月10日、東京渋谷に生まれる。
本名は權景守。
父親が廃品回収業をしていたため小学校に上がる頃から、廃品の中から少年雑誌や童話を見つけ出してたくさん読む。東京空襲では群馬県嬬恋に疎開し、敗戦の翌年故国に帰国。釜山で暮らすが朝鮮戦争で一家離散、その後店員などしながら読書にいそしむ。18歳の時重い病気にかかり、父親の郷里の慶尚北道安東市一直面造塔洞で闘病生活に入る。以後、体と相談しながら執筆活動を続ける。
主な作品 :
1969年 「子犬のうんち」/〈강아지 똥〉 : 第一回キリスト教児童
文学賞に入選
1969年 「のいばらと虹」が教師用教養誌『たいまつ』に入選
1971年 童話「子やぎの影のタルランイ」 : 毎日新聞新春文芸(大邱)に入選
1973年 童話「木綿のチョゴリとお母さん」/〈무명 저고리와 엄마〉 : 朝鮮日報新春文芸に入選
童話集
『子犬のうんち』/《강아지 똥》
『モンシル姉さん』/《몽실 언니》
『チョンドギ一家』
詩集
『母さんのすむあの国には』/《어머니 사시는 그 나라에는》
絵本
『子犬のうんち』/《강아지 똥》
『ぼくのすんでた故郷は』/《내가 살던 고향은》
※ 著者の名前で検索すると、この他にもいろいろと著書が出てきます。
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