中国朝鮮族への旅―中朝国境の河、鴨緑江・豆満江北岸紀行著者 : 滝沢秀樹
出版社 : 御茶の水書房(2005/04/20)
1988年から2004年にかけて、著者が中国朝鮮族が暮らす地域を数回にわたり訪れた時のことをまとめた一冊。
この著者の著書の中でも、『鏡としての韓国現代文学』や『韓国へのさまざまな旅』、『ソウル賛歌−ある韓国留学記』などを読んだことがあり、面白かったので、この本もと結構期待して読んだ。 でも、その期待はちょっと甘かったようだ。
著者は韓国や朝鮮、在日韓国人に対してとても熱い思いを持っている。 それは、これまでの著書の中でも、著者自らがそう記している。 しかし、客観的にみるべきところに関してはそれなりに客観的だったのだが、本書はどうしたわけか、その熱い思いがかなり前面に出てきていて、今までの著作とはちょっと違うものを感じた。
また、本書はいっきに短時間で書き上げたそうだが、構成が結構読みにくくなってしまっている。 時間を軸にしたかと思うと、ある場所を軸として書いてみたり…。 著者は大病を患った後であり、これから残された時間や現在の健康状態などを考えて、できるだけ早くまとめたのかもしれないが、もう少し豊富な内容かと期待していただけに、残念である。
そして、中国の朝鮮族に関しては詳しいのかもしれないが、彼らが暮らしている中国に関してはほとんどご存知ないようである。 例えば、あたかも延吉で見られる社会現象がそこだけのように錯覚してしまうような書き方をしているが、実際は中国全体で見受けられる現象であったり…。 中国に関する記述はちょっと首をかしげざるを得ないところがままあったことを考えても、一冊の本としてまとめて出版するのであれば、もう少し詳しく調べてからにして頂きたかった。