『アリランの歌』覚書―キム・サンとニム・ウェールズ
編者 : 李恢成(이회성/イホェソン)/水野直樹
出版社 : 岩波書店(1991/05)
ニム・ウェールズとキム・サンの共著として出版された
『アリランの歌―ある朝鮮人革命家の生涯』は有名だが、作家の李恢成氏がその著者であるニム・ウェールズをアメリカに訪ね、インタビューした内容をまとめたものから始まり、『アリランの歌』には出てこなかった話しなどを含んだ「朝鮮とキム・サンの生涯についての覚書」(by ニム・ウェールズ)、キム・サンが書いた小説、キム・サンの息子さんへのインタビューなどから構成されている。
目次は次の通り :
第一部
ニム・ウェールズ・ピルグリム(李恢成)
《インタビュー》ニム・ウェールズとの対話(聞き手=李恢成、通訳=朴重鎬)
第二部
朝鮮とキム・サンの生涯についての覚書(ニム・ウェールズ、訳=加地永都子)
《小説》奇妙な武器(炎光[キム・サン]、訳=蒲豊彦)
第三部
《ドキュメント》キム・サンの足跡(水野直樹)
『アリランの歌』が聴こえてくる(金賛汀)
キム・サンが書いた小説まであったのかとちょっと驚きながら読んだ。 それぞれの文章一つ一つが価値のあるもので、ほとんど論文集のような感じもする。(だからなのかどうか、値段も結構はる一冊になっているが)
第三部の「『アリランの歌』が聴こえてくる(金賛汀)」はキム・サンの息子さん(高永光氏)へのインタビュー。 金賛汀氏は中国の朝鮮族関係を扱っていらっしゃる方のようだが、高永光氏とのやりとりはどうもちぐはぐな感じがぬぐえない。 キム・サンの息子ではあるが、ずっと長いこと中国人として中国で暮らしてきているわけで、高永光氏の受け答えは中国人そのものである。 かたや、金賛汀氏は故郷ではない地域に暮らす同胞として見る感があり、この方は中国や中国人のことをどのぐらい理解しているのだろうかと思わざるをえなかった。 中国にもっと詳しい方が対話をしたら、もっと興味深いものになったのではと思う。