汲む −Y・Yに−
大人になるというのは
すれっからしになることだと
思い込んでいた少女の頃
立居振舞の美しい
発音の正確な
素敵な女のひとと出会いました
そのひとは私の背伸びを見すかしたように
なにげない話に言いました
初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちてゆくのを
隠そうとしても 隠せなかったひとを何人も見ました
私はどきんとして
そして深く悟りました
大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態でさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと......
わたくしもかつてのあの人と同じくらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそりと汲むことがあるのです
茨木 のり子
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人前で何か話すのが苦手、初対面の人と話すのも苦手。引っ込み思案な性格を、親や先生たちからはいつも「損な性格だ」と言われた。人がたくさん集る所にいるのも苦手。別に、猫をかぶっているわけでも、おとなしぶっているわけでもないんだけどこれはどうしようもない。 自分らしくなく振舞うと、とてもわざとらしくて嫌。
最近も人のたくさん集る場所に行く機会がありました。やっぱり、いずらいですね〜。自分はここには属さない人間なんだとか思ったりして、早くその場から立ち去りたいとか思ってしまいます。
そんなとき、この詩を読んで、「自分らしくていいんだな」って思います。感受性が強くて、他の人が感じないことまで感じとってしまいそれで疲れることもしばしばですが、やっぱり自分らしくやっていこうと元気づけてくれる詩です。
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